*⁂*乳がんと私-病が導いた本当に望む「人生」との出会い-*⁂*

乳がんを宣告されて今年で6年目。看護師である私の闘病体験を通して、自分らしさや女性としての生き方について考える時間を提供します。

乳がん手術後数日で経験した事

こんにちは、みなさん。

miraiです。

 

一生に一度で十分、手術直後1日目は、

体育会系でストレス耐性は高い方だと自負する私でも弱音を吐いてしまいました。

といっても話し相手がいないので、

自分自身の中で「辛いもんだのう・・」呟いただけですが笑。

手術翌日はそれはそれで大変だった

 

手術後すぐに歩けるようになったのはいいのですが、

痛みと吐気が強く気持ちが沈みがちでした。

生理学上当然の反応なので、仕方のないこと・・。

「恐らく、吐気は硬膜外(背中に入っている痛み止め)だろうから、

抜けば吐気は治まる。でも、果たして痛みにどれだけ耐えられるか・・。」

ずっと考えていました。

 

手術後2日目の医師の回診。

前日と同じく表面に見える傷を確認し、

ドレーン(傷口から排液を促す管)を見ていました。

「吐気がかなり強いようですね。」と一通りの観察を終えた医師は

私の顔を見て言いました。はい、と答えるしかありません。

すると、私が答えを決め切れていない「あれ」について打診されました。

「背中の管、抜きましょうか。」

 

いつもは判断が早い私でも、こればかりは即答できませんでした。

答えに窮していると「いづれにしても明日抜く予定でいるので、

1日早めるだけです。きちんと食べられた方が回復のためには大切ですし。」

とテキパキ言うので、じゃあ、と思い抜管をお願いしました。

一般的に、病棟で侵襲が加わる処置を行う場合、

午前中に済ませてしまうことが多いのです。

何故かというと、処置後の合併症を想定して、

観察時間を1日の間で十分に取れるようにするからなのです。

 

硬膜外麻酔は痛みのコントロールのために、多くの外科手術で取り入れられます。

何でもそうですが、こうした医療処置には必ず危険が伴うもので、

この硬膜外麻酔も、症例はそれ程多くないとはいえ、様々な合併症を引き起こします。

硬膜外血種、感染、カテーテル断裂による体内残存など・・。

挿入中には何もなくても、抜去後に合併症を引き起こす可能性もありますので、

自分でも注意しておく必要があります。

例えば、頭痛が起こったり、足の動きが鈍くなってきたりなど。

 

抜く時は、スルスルと体内から何かが滑り出る様な感じですが、

痛みは殆どありません。

硬膜外麻酔の管を抜いた後は、少しの間水平に寝たまま安静にしています。

どうやら、私の管は断裂もなく無事全部抜けたようですので、

しばらくの間ベットの上でじっとしていました。

痛みに対する心配も一時は忘れて

「血種が出来ませんように、感染を起こしていませんように、神様、神様」

と祈っている内に眠ってしまったようです。

 

昼ご飯の時間で起こされました。

担当の看護師さんがやって来て「一緒に起きましょう」といい、

手を貸して下さいました。

患部の痛みが強くなっているのかどうかは分かりませんでした笑。

とにかくずっと胸の辺り一帯に強い鈍痛が続いていたので、

「まあ、もうしばらく様子見で・・」と自分に言いました。

幸い、頭痛も起きず、背中の抜去後の跡にも表面的な出血は見られませんでした。

でも、まだ何となく食欲が湧かず、ぼーっと昼食の載ったトレイを見つめていました。

 

その後、痛み止めの薬が内服薬で開始されました。

点滴の管はまだ残っていて、朝晩の抗生剤投与のみに使われました。

硬膜外麻酔が抜けてしばらくは痛み止めの点滴処置も可能でしょうから、

しばらくは安心。

 

時間の経過とともに、食事が食べられるようになって来ました。

何か、味覚が鈍いような感じもしましたが、まあ、一過性のものだろう・・

と思いながら、病院で出して頂けるお食事を有難くいただく事が出来ました。

痛みは相変わらずで、ベッドでの寝返りや起き上がる動作が一番工夫を要しました。

看護師さんに教わったのですが、起き上がる時はまず横向きになり、

そこからベッド柵に手をついて身体を起こすと比較的楽です。

上向きのまま起き上がる癖があるので、

これを教えて頂いた時は、「おー」と改めて専門知識って有難いなあと思いました。

(なぜ私自身が知らなかったのかがむしろ悲しい笑)

 

食事が進むようになってくると、大抵の場合便秘傾向が始まります。

術後数日間は思うように動けませんし、痛みだけでなく、

何となく頭なのか目なのか分かりませんがフラフラして、

歩みが弱々しい感じがするのです。

今は、術後の早期離床と言いまして、

翌日から立ってトイレだけでも自力で行けるように促されます。

それは、回復過程を早め、合併症を予防する観点から医療界では主流です。

それでも、運動できるレベルになるまでにはかなり時間がかかりますから、

便秘を予防するにはお腹をマッサージしたり、薬を飲んだりするしかありません。

元々便秘がちな私は、必ずこうなるだろう、という事は予想できていましたので、

自宅から普段使っているハーブの便秘サプリを持参して来ていました。

もし、これから手術を受けられる方で便秘傾向がある方は、

自分と相性のいい便秘解消サプリなどを用意しておくと良いと思います。

 

3日目になると、お部屋に初老の患者さんが入院して来ました。

詳しい病名は忘れてしまいましたが、慢性的な病気を抱えており、

何度も手術を経験されている方で、

今回も胸の手術のために入られたと仰っていました。

明るくお話の好きな方で、

「調子の良い時はカーテンを開けて、みんなでおしゃべりしましょうよ。」

とみんなに挨拶していました。

「あなたは乳がん?」と私に聞くので

「はい、そうです。今日で術後3日目です。」と答えました。

すると彼女は「私、こんな病気じゃない?だから長いことこの病院にかかって

何度も入院しているけれど、乳がんの方、多いわね。」と言いました。

 

あの、これは良くある認識です。

私は、看護師として小児がん専門病棟にいた事があります。

当然のことながらがんを発症した子供ばかり見る事になります。

すると、世の中の子供の多くががんに罹るのではないか、と思い始めます。

胸の病気を抱えていて胸部専門の病棟にいる事が多ければ、

乳がんの患者さんを見る確率は大きくなりますから。

 

そんな明るい彼女のお陰で部屋の患者さん同士の会話が増え、

気が紛れる事が多くなりました。

大人同士の部屋では、カーテンを閉め切って一人で過ごす人が多いような気がします

が、私も彼女が同室に入院して来なければ、

そうしてひっそり過ごしていたかもしれません。

それがいけない訳ではないですが、辛い症状に耐えたり、

ちょっとした間に悲観的な事を考えたりするよりは、

人とおしゃべりをする時間も必要かもしれないなあ、と思いました。

 

結局、痛み止めの点滴はお願いしませんでした。

痛みは軽減することなくずっと痛かったですし、

痛みに耐えるとサイトカインが増え、

身体に対する良くない影響がある事も知ってはいましたが、

内服薬で何とか過ごせていました。

お願いしなかった理由は、実は私自身でもはっきり分かりません。

抵抗があったのかもしれないし、薬効を信じていなかった可能性もあります。

高確率でペンタジンが使われる可能性が高く、依存症患者を大勢見て来たので、

せっかくだから試してみても良かったかもな・・と後々考える事はありましたが、

そんな理由で貴重なお薬を使うのもおかしな話です。

 

さて、肝心の傷の経過ですが、

実は何日目で患部の消毒を開始したのか忘れてしまいました笑。

でも、初めて自分にできた傷を見た時の感覚・・今でも忘れられません。

このお話はまた次回以降にしようと思います。

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