*⁂*乳がんと私-病が導いた本当に望む「人生」との出会い-*⁂*

乳がんを宣告されて今年で6年目。看護師である私の闘病体験を通して、自分らしさや女性としての生き方について考える時間を提供します。

喫煙と手術、喫煙と乳がん

みなさん、こんにちは

miraiです。

 

前回、乳がんの確定診断を受けてから手術前の形成外科受診で「禁煙の脅迫」

を受けたお話をしました。

empowerme.hatenablog.com

 

色々なパターンはあるかと思いますが、乳腺全摘+同時再建術を選択すると

乳腺外科だけでなく乳房再建に関わる形成外科の専門の医師が治療に加わる事が

多いと思います。

前回のお話では、この形成外科の先生にシコタマ「禁煙しないと手術しない!」

と脅されたお話を紹介しました。

 

当時の私がこの女医さんの圧力のある説明(だけではないですよね)から

正直に感じた気持ちは、「これ、半分脅しだな」でした。

乳がんを宣告され、余命への不安や乳房を失う人に向かって

「禁煙しないと手術しない」とまで言うんです。

 

「この様なきついご忠告は私の為を想って言ってくれているんだから、

ポジティブに受け止めなくちゃ」と全ての人が前向きに受け入れ、

今後の長い治療の道のりに臨む事が出来れば、問題ありません。

 

個人的には、もう少し言い方というか、

アプローチの仕方があるのではないかな・・と思います。

「喫煙者の方で皮膚治癒不全や術後の創感染率は、非喫煙者に比べて〇%高いので、

その合併症のリスクが高まる事を理解して置いて下さい。

統計によると、再発リスクも〇%高まるとも言われていますので、

医師としてはこれを機に禁煙する事をお勧めます。」

くらいに収めて話せないものでしょうか・・。

 

医師にとっては、大勢の中の一人の患者かもしれませんが、

‟こっちは、色々パニックなんですよ。”

―――と言いたくなりました。

 

私にとってはもう過去の事ですし、無事色々と乗り越えてここまで生かして

戴きましたので、「こんな事言われたな・・」とこうしてお話する事は出来ますが、

もし、現在同じ様な境遇にいる方が抱いているモヤモヤする気持ちには

心から共感できます。

 

治療を受ける患者の側からすると、この医療専門家側の理屈は簡単に言えば

こういう事なのでは?と推測します。

「健康リスクが高い事を知り、且つ/もしくは、医師からも禁煙を勧められているのに

も関わらず喫煙を続け、その結果引き起こした病気の治療、

もしくは合併症ハイリスクを伴う高侵襲の治療はしたくありません。」

 

まあ、理屈で言えば食事制限を全く受け入れられない人の糖尿病の治療はしません、

みたいな感覚と同じなのでしょうが・・

 

結論、禁煙出来る人は止めてしまった方が色々楽ですし、

禁煙出来ない人はそのまま治療に臨むしかありません。

 

タバコと健康への相関関係と言いますか、タバコの身体への影響については、

色々な場面で色々な情報に触れていると思います。

今現在、医療界でのトレンドは「喫煙者を減らす」方向で進んでいます。

喫煙を理由に手術を断るケースも増えて来ているのも事実です。

 

喫煙によって体内に取り込まれる様々な物質によって

身体機能が健常な状態から不健常な状態になるので治療の成績が上がりません、

という事のようです。

今では、統計データがある程度揃ってきているので、

それをエビデンスにしたステートメントが様々出されています。

 

参考リンク①:禁煙と全身麻酔について:独立行政法人 労働者健康安全機構 青森労災病院

参考リンク②:

www.hospital.asahi.chiba.jp

 

では、長年禁煙してきた人が術前の1ヵ月程度禁煙して、

合併症のリスクがどれだけ減らせるか?と疑問に思いますよね。

 

それに関しては麻酔科学会がガイドラインを出しています。

 周術期禁煙ガイドライン:公益社団法人 日本麻酔科学会(2015年)

 

「周術期」と言うのは、術前、術中、術後の一連の期間の事を指します。

詳しくは読んで頂けると良いと思いますが、一応科学的なエビデンス

要するに「喫煙が手術に悪い影響を与える理由」が解説されており、

「手術前短期禁煙にも意味がある」について理解を促す内容になっています。

 

このガイドラインでは「術前短期禁煙」を「2~4週間前」と説明されています。

約半月から1ヶ月という事ですよね。

「この短い期間の禁煙でも合併症は増加しない」と説明をしています。

ちょっとトリッキーな表現ですよね。

「短期禁煙でも合併症が減少した」と言ってもらった方が

理解し易いですが、その様には書いていません。

 

更に、禁煙期間が4週間以上と長くなれば「術後呼吸器合併症は減少する」

としていて、医療者側としては最低でも4週間は禁煙期間を設けるよう

ある基準を持っていると理解しても良いかもしれません。

 

また、喫煙による皮膚治癒過程への影響についても同ガイドライン

説明をしています。大事な内容だと思いますので、引用します。

 

術前禁煙は、消化器手術、骨折手術、乳がん手術などにお いて術後合併症

の発生頻度を減少させる。以上のような術前禁煙による様々な効果が

多くの臓器にもたらされるが、最も顕著なものは創治癒への影響である。

 

 一方で、乳がんと喫煙の関係はどうでしょうか?

 

ここでは、日本乳癌学会の見解を中心にご紹介します。

結論、「喫煙と乳がんには相関があり、喫煙者の乳がん発病率、再発率が上がる」

と報告しています。

 

参考リンク:

jbcs.gr.jp

 

詳細は、サイト内を読んで頂けると良く理解できますが、

タバコには多くの発がん物質が含まれているが、

国際がん研究機関(IARC)による発がん性評価によると、

乳がんと喫煙との相関関係に対しては

明確に相関関係を限定する内容にはなっていないようです。

ですが、乳癌学会は様々な研究結果を複合的に評価した結果、

「喫煙(受動喫煙を含む)が乳がん発生率を高める事は確実である」

と結論付けているようです。

 

加えて、某A新聞の記事を紹介する以下のような見解もあります。

タバコを吸う閉経前の女性は乳がんになりやすい(クリニークアンジェ牧山内科)

 

 また、同学会は「喫煙者は再発リスクも高くなる」と報告をしています。

jbcs.gr.jp

 

周囲の多くの人たちは癌になった時点で「禁煙しなさい」と言って来ます、

という事を理解して置くことも役に立つかと思います。

 

さて、私は喫煙者で乳腺全摘+再建術を経験しました。

この「合併症」はどうだったのか?

次々回くらいにはお話しできるかもしれません。

 

次回は、入院までの日々で私が向き合った色々についてお話ししようと計画しています。

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